もの忘れ・認知症外来について
超高齢化社会の到来により、もの忘れや認知症に関する関心が高まっています。もの忘れや認知症は、早期発見、そして適切な対策や治療を行うことで進行をゆっくりさせることができます。それにより長く日常生活に大きな支障なく過ごせる可能性が高まります。もの忘れや認知症に適切な治療を行って進行を遅らせることは、ご本人はもちろん、ご家族や社会にも意義の深いことだと当院では考えています。「最近、もの忘れが多くなった」と気付いたら気軽にご相談ください。
もの忘れ・認知症外来での検査
問診や質疑、設問などを行った上で、血液検査、MRIによるVSRADで診断を行います。必要だと判断された場合には、提携病院でRI検査(核医学検査)を受けていただく場合もあります。こうした検査の結果を踏まえ、認知症の種類・症状に合わせた治療を行っていきます。
認知症検査(VSRAD)
海馬や海馬傍回(かいばぼうかい)付近の萎縮を調べるための、MRIによる特殊な脳の検査です。アルツハイマー型認知症で最も早く萎縮が起こるのが海馬や海馬傍回付近だとされています。この検査ではその部分の萎縮をMRI画像で診断することが可能です。
認知症の症状
記憶障害にはじまって、被害妄想や身体的な症状が現れます。
記憶障害
アルツハイマー型認知症は、記憶障害である「もの忘れ」から症状がではじめます。最近起こった事柄の記憶が失われるケースが多くなっています。現在、自分が置かれている状況がわからなくなることもあります。
被害妄想
記憶障害から派生して起こる症状です。
- 食べたことを忘れて、自分だけ食事をさせてもらえないと思い込む
- 大事なもののしまい場所を忘れて、盗まれたと思う
身体的症状
アルツハイマー型認知症では、頭痛、めまい、また失語や失認などの見当識障害が現れるケースがあります。進行すると歩行障害なども現れ、日常生活に支障がおよんできます。
認知症の種類
日本では、アルツハイマー型認知症、血管性認知症、そしてレビー小体型認知症が三大認知症と呼ばれています。
アルツハイマー型認知症
認知症全体の5割を超えるほど多い疾患です。脳が萎縮し、特有の変化をともなうことが特徴の病気です。記憶力低下に加え、判断や理解、思考なども低下してしまいます。人や場所、時間に関する認識が悪くなり、時間に関する認識能力が早くから衰える傾向があるとされています。
原因はまだわかっていませんが、発症した場合には必ず進行していく難病であり、高齢になるほどかかるリスクが上がります。
脳血管性認知症
脳梗塞や脳出血といった脳の血管障害が起こり、問題が起こった場所から先の部分への血流が失われて部分的に脳の機能が失われた状態です。脳血管障害に起因する認知症で、老人性認知症ではアルツハイマー型認知症に近い罹患者数を占めています。
レビー小体型認知症
脳の神経細胞が減少する病態の変性性認知症で、原因は不明です。女性に比べ、男性が発症するケースが約2倍と多く、老年期に起こる認知症として知られています。